雪柳

最終電車を下りて、月明かりに浮かぶ駅前公園をそぞろ歩きながら家へと向かった。

すり鉢状になっている公園の階段を降りた先で、何やら子どもたちが数人、頭を突き合わせて、言い合いをしている。

夜中の十二時少し前。

「どうする?」「どうしようもないじゃない!」「ほっとくわけにはいかないよ」

いったいどうしたというのだろう。

「君たち、どうしたの?」

声をかけたとたん、子どもたちが一斉に振り返った。

みんな真っ白い服を着て、似たような顔で「おにいさん! ちょうどよかった! こっちこっち!」と、僕の手を引っ張る。

たどり着いた場所にはダンボールに入った子猫が一匹。あまりの可愛らしさに思わず抱き上げた。

はっとして後ろを振り返ると、そこにはもう子どもたちの姿はなくて、ただ白い雪柳が、春の微風に小さく揺れているだけだった.