二等星の怪奇譚
一話 千年
日本という島国のどこかの土地に、不思議な野原があった。
その野原は小さな不思議な丘の上にあって、晴れの日も雨の日も曇りの日も雪の日も、いついかなる時も光り続けた。雲の隙間から光の垂れ幕が下がるように、神々しく。
その野原の近くに、ある一家が住み着いた。はるか昔、平安時代後期のことである。
その一家は貴族と武士の混じり物で、都から辺境の地まで逃げてきたそうだ。証拠に、その一家は歴史に残されていない。この時代、貴族と武士が婚約するなどと寝耳に水だった。
追手から逃れたその一家は何百年と、長きに渡り血を繋いできた。ずっと、ずっと、耐え忍んできた。
そして現代。その一家の子孫は、今も強かに生きている。
「ちょっと翠!だらだらしないで!ほら、布団干すから!」
「・・・・・・あと五年」
「よく聞く文句だよね、聞き飽きたよ。昨日も言ってたよね。ついでに言うと二十八分前にも同じこと言ってたよ」
「細けっ」
「ほら!遅刻するよ!風邪ひかないようにしっかり防寒!」
「春だぞ寝ぼけてんのか!」
・・・予言があった。武士と駆け落ちした貴族の女性に恨みを持った貴公子が、呪ったのだ。
【千年後だろうか。
いつの日か、あの醜女に、真の裁きが下されよう。
その裁きを受けるのは双子。吉兆である双子。そやつらは、我らが放った刺客なる存在・・・・・・怪異が、全てを壊し襲うであろう】
丁度、千年。
平穏が終わりを告げにくる。